『中華人民共和国社会保険法』
第11回全国人民代表大会(日本の国会に相当)常務委員会第17次会議が10月28日に、『中華人民共和国社会保険法』
(中華人民共和国主席令第三十五号)を正式に採択し、2011年7月1日より施行することが決定された。本法により、企業と関連のある内容は、主に次の通りである。
一、 社会保険の登録
(一)企業が設立、変更又は清算をする場合、終了日より30日以内に、法定登録地社会保険部門にて、社会保険の登録、変更または清算を申請するものとする。
(二)新規雇用者が入社して30日以内に、企業は当該社員の社会保険の加入登録をしなくてはならない。登録していない場合、社会保険部門により、企業の納付すべき社会保険金額を算定するものとする。
二、
社会保険金の納付
(一)企業が期限且つ満額通りに社会保険金を納付し、且つ、納付明細を月毎に社員に提示するものとする。
(二)納付すべき社会保険金を申告していない場合、企業の前月度納付額の110%を以って納付金額とする。納付金額の追加申告が終了後、社会保険金徴収部門より規定に基づき納付額を算定するものとする。
(三)企業が期限通りに、又は満額通りに社会保険金を納付していない場合、社会保険金徴収部門より期限付きでの納付又は不足分の納付を命令される。社会保険金の滞納を続ける企業に対しては、保険金徴収部門が書面にて当該企業の口座開設銀行に通知した上、未納入相当額を振り替えさせることができる。
三、
社員労働災害保険の負担
社員に労働災害が発生した場合、本法により以下費用は企業の負担となる。
(一)労働災害休業期間の給与と福利
(二)労働災害上の等級五級又は六級障害者に対しては、月毎の障害手当金
(三)労務契約が終了又は解除された場合は、障害者就業一時補助金
四、
法律上の責任
(一)企業が社会保険の加入を怠った場合、社会保険行政部門より期限付きで命令される。期限が過ぎても尚納付しなかった企業に対して、納付すべき金額の1倍以上3倍以下の罰金が科され、当該企業の社会保険金納付担当者に対しては500元以上3000元以下の罰金が科される。
(二)企業が期限又は満額通りに納付していない場合、社会保険金徴収部門より期限付きの納付又は不足分の納付を命令され、滞納日から起算して、納付すべき金額の5/10000相当の罰金が日額で科される。期限が過ぎても尚納付しなかった企業に対しては、納付すべき保険金の1倍以上3倍以下の罰金が科される。
(三)企業が社会保険金の満額を納付しておらず、且つ担保を提供していない場合、社会保険金徴収部門が裁判所に提訴した上、納付相当額の財産を差し押さえ、押収又は競売できる。
五、
その他
(一)農村戸籍社員の場合、本法により社会保険に加入するものとする。
(二)中国国内で勤務している外国人の場合、本法を参照した上、社会保険に加入できる。
説明:
一、 企業が負担すべき社会保険には、基本養老保険、基本医療保険、労働災害保険、失業保険、生育保険がある。その内、基本養老保険、基本医療保険と失業保険は、企業と社員の相互負担で、労働災害保険と生育保険は、企業の負担となる。
二、特に上海で勤務している外国人は、『就業証』と『労働契約書』(社会保険の加入が記載された場合)を「上海市人力資源と社会保障局」に提出し、基本養老保険、基本医療保険と労働災害保険へ加入することができる。
リンク:
『中華人民共和国社会保険法』(中華人民共和国主席令第三十五号)
以上