「個人所得税法修正について」
中国の全国人民代表大会(日本の国会に相当)常務委員会は6月30日付けで、個人所得税法の修正案を採択し、企業に関連のある修正内容は主に次の通りである。
一、基礎控除額の引上げ
修正前の2,000元から3,500元に引上げる。
二、税率の調整
修正前の9段階累進税率を7段階に減らし、給与別個人所得税の税率を修正前5%-45%を3%-45%に修正する。詳細は表1の通りである。
表1
課税所得等級 |
月次課税所得(人民元) |
税率 |
速算控除額(人民元) |
1 |
<1,500 |
3% |
0 |
2 |
1,500—4,500 |
10% |
105 |
3 |
4,500—9,000 |
20% |
555 |
4 |
9,000—35,000 |
25% |
1,005 |
5 |
35,000—55,000 |
30% |
2,755 |
6 |
55,000—80,000 |
35% |
5,505 |
7 |
>80,000 |
45% |
13,505 |
三、個人所得税納付期限の延長
『個人所得税法』(原文リンクを参照)9条により、当月に発生した個人所得税は翌月15日以内に(修正前は翌月7日以内に)納税申告とともに納付しなければならない。
四、修正後の『個人所得税法』は2011年9月1日より実施する。
原文リンク: 『個人所得税法』
説明:
一、個人所得税の算出方法について
中国人従業員の場合
四金(注:城鎮社会保険と住宅積立金の通称)差引後の所得が10,000元である場合、個人所得税の算出方法は次の通りである。
1. 課税対象額の算出方法
課税対象額=四金差引後の所得-基礎控除額
=10,000-3,500
=6,500(元)
2. 適応税率と速算控除額の算出方法
表1(課税所得等級3)により、課税対象額が6,500元であるため、適応税率は20%となり、速算控除額は555元となる。
3. 課税額の算出方法
課税額=課税対象額×税率-速算控除額
=6,500×20%-555
=745元
外国籍従業員の場合
n 個人所得税の算出方法
上記中国人従業員個人所得税算出方法と同様。
n 控除額について
『中華人民共和国個人所得税法実施条例』29条により、外国籍従業員の場合、基礎控除額のほかに、2,800元が追加控除可能であり、よって修正後外国籍従業員の控除額は6,300元(=3,500+2,800)のはずであるが、追加控除額としての2,800元は、変更するか否かにつていは、今回の個人所得税法修正では明確にされておらず、新たな実施条例が公布された場合、実際規定に準ずる。
二、修正に伴う課税額の変化
1. 月次所得額(四金差引後)が8,000元〜12,000元である場合、減税額が最も高く、480元まで減税可能である。
2. 月次所得額(四金差引後)が38,600元である場合、修正前後共の課税額は7,775元で、課税額には変化はない。
3. 月次所得額(四金差引後)が102,000元以上(含)である場合、税負担が最も増額しており、修正後課税額は修正前より1,195元の増額となる。
4. 詳細は表2を参照。
表2 単位:人民元
月次所得額
(四金差引後) |
旧税法課税額 |
新税法課税額 |
差額 |
@ |
A |
B=A-@ |
3,500 |
125 |
0 |
-125 |
5,000 |
325 |
45 |
-280 |
8,000 |
825 |
345 |
-480 |
10,000 |
1,225 |
745 |
-480 |
12,000 |
1,625 |
1,145 |
-480 |
20,000 |
3,225 |
3,120 |
-105 |
30,000 |
5,625 |
5,620 |
-5 |
38,600 |
7,775 |
7,775 |
0 |
40,000 |
8,125 |
8,195 |
70 |
50,000 |
11,025 |
11,195 |
170 |
60,000 |
14,025 |
14,270 |
245 |
70,000 |
17,425 |
17,770 |
345 |
80,000 |
20,925 |
21,270 |
345 |
90,000 |
24,825 |
25,420 |
595 |
100,000 |
28,825 |
29,920 |
1,095 |
102,000 |
29,625 |
30,820 |
1,195 |
以上 |